学校一のモテ男といきなり同居
「今度は、彼氏作っていーなんて言わない。お前の相手は、俺だけだから……。

他のヤツに、触られるの禁止。キスもダメ、もちろん手をつなぐのも抱きしめられるのもな」




あたしがするわけないようなことを言ってくる郁実に、思わず吹き出す。




「プッ……ナイから」




「わかんねーじゃん。きっと、これまでよりもっと寂しい思いをさせるかもしんない。俺が活躍すればするほど、遠い存在に思えて、ひとりで苦しむかも。

そんなとき、フッと魔が差して……」




「あたしが!?」




「断言できる?」




「できるよ…ヒドい、そんな風に言わないでよ……」




「だよな……わかってる。けど、俺だって、同じように不安だから……真央のことが好きだから、そーいうの気になるよ」




以前は言ってくれなかったような言葉を、言ってくる郁実にキュンとした。




こうやって、あたしを安心させようとしてくれているのか、




ホントに不安に思っているのかは、わからないけど。




それでも、あたしと同じなんだと思うだけで安心できる。












「郁実。あたし、ずっと待ってるね。郁実が迎えに来てくれるのを、待ってる」




「ん…そーして。早く、真央と結婚したい。だから、頑張る」




「……えっ、今なんて言ったの!?」




あたしの聞き間違いじゃなければ、ケッコンって言ったよね!?




「聞いてねーのか。なんだよ、もう言わねー」




イジワルに笑う郁実が、あたしの頬を撫でる。






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