学校一のモテ男といきなり同居
「あ……あ、え……っと。どっ……どうしよう」



「どうしようって言われても、困る。眠いしさ……早く寝たい」



……え。



あ~、そうなんだ、そういうこと……。



寝不足大敵!な人だったよね。



あたしたちは近くにあるホテルに移動し、チェックインをした。



部屋は小さいけど、小奇麗なビジネスホテルだ。




お互いシャワーを浴びて、備え付けの浴衣に着替える。



一緒に住んでたからか、こんなシチュエーションでも思ったほどドキドキしない。



慣れって怖い。







だけどそれは、郁実がベッドに入るまでだった。



ベッドの端に腰掛けていたあたしは、やっと現実を目の当たりにする。



やっぱ、緊張する。



ダブルなんて借りるから、同じベッドで寝なきゃいけない。



郁実と一緒に寝るなんて…あたしも、大胆。



そうだ、こうなったら先に寝てもらおう!



明日から海外に行くって言ってたしね。



「ねぇ郁実、明日も早いんだよね。先に寝ていーからね」



「サンキュー」



「そういえば…パスポート持ってるの?明日仕事でしょ」



「その前に、違う仕事が入ってる。朝……高木ちゃんには電話入れる。現場に直接持って来てもらうよ」



「そっか…海外にも、一緒に行くの?」



「あー、どうかな。けど、なんもねーから。俺のこと、信じて」



ベッドの端まで擦り寄ってきて、



チュッと、おでこにキスを落とされる。



その言い方は、高木さんも…同行するんだ。



モヤモヤっとするけど、郁実とあたしの将来のために頑張るって決めた。



ここで挫けてたら、この先絶対に頑張れない。



「わかった。だけどもし浮気したら…結婚してあげないから」



「あ、やっぱさっきの聞いてた?」



郁実がニヤリと笑う。



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