学校一のモテ男といきなり同居
「ニヤけてんじゃねーよ」



やっぱり、またいつもの郁実だ。



「そんな言い方しないで!あたしだって、恥ずかしいんだから…」



「俺だって。照れるから、ついそーいう言い方しちまう。素直になるって、難しいな…」



「うん…」



これは、あたしたちの難題かもしれない。



「ま、とりあえず。今日は絆を深めようぜ」



「絆…え、あっ…うわ」



郁実が、あたしをベッドに押し倒す。



あたしの頭は完全にパニック!








強引にキスされ、動転してしまう。




「あっ…あたし、トイレ!!トイレ行ってくる」




「は?色気ねーな……いーよ、行ってこい」




不満気な郁実を残し、トイレに駆け込む。




はぁっ……はぁ。




心の準備が。




あ~、もぉあたしの意気地なし!




郁実となら、いいじゃない。




今だって人気が出始めてるし、これからはこんな風に泊まったりできなくなる。




最後の夜かもしれないよ?




うん……そうだね。




あたしも…郁実との絆を深めたい。




もっと、もっと…郁実と近い存在になりたい。




「よしっ!」




小声で気合を入れ、部屋に戻る。




ふて腐れたのか、郁実はあたしに背を向けていた。




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