学校一のモテ男といきなり同居
「間違えた。真央の仕事ぶりが、好きだって」




あぁ……そうなんだ、って郁実も紛らわしいから!




それに、社長がそんなことを思っていてくれたなんて、ビックリ。




「他には?」




「『将来性のある子の芽を摘むようなことだけはするな』って…そう、言ってた」




「え……」




郁実はまたゴロンと転がって、あたしの方を向く。





「真央は仕事熱心で…勉強を日々怠らないし、向上心があって…期待してるうちのひとりだって」




「社長が……?」




まさか、そんなことを思っていてくれたなんて。





顔や態度に出さない人なだけに、期待されていたことに胸が躍った。
















「あぁ、そう言ってた。なんか、大人だよな……俺、自分がガキだって思い知った」





「そんなことないよ……」





確かに郁実はカッとするとなにするかわからないところがあるし、





さすがにさっきのはダメだと思うけど、基本的に郁実はあたしよりしっかりしてるはず。





最初の社長への態度は、郁実の独占欲が出たって思えば、なんだか微笑ましい気もするよね。





それだけ、あたしのことを思っていてくれる証……。





「なんだろな……この感情。真央は、俺のこと……好き?」





ドキッとした。





今さら……





改めてそんなことを聞かれるなんて、思わなかったから。





トクトクと、鼓動が早まるのを感じた。







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