学校一のモテ男といきなり同居
チュッともう一度キスを落とし、郁実があたしから離れる。




「俺のも、つけて」





手を差し出してくるけど、躊躇してしまう。





「……どの指に?」





あたしと同じ指にはめてもいいのかな。





そういうのをチェックしてるファンもいるだろうし、もし大事になったら……。





「もちろん、ココに。今さら薬指につけても、誰もなんも言わねーよ」




そうだよね、郁実は普段からファッションリングをいくつか指につけてるし、




これだけが、クローズアップして注目を浴びることも、ないよね。










「ブライダルリングで有名なヤツだけど、ま……大丈夫かな」




「えっ、そうなの!?」




「ブライダル担当になったのに、そんなのも知らねーの?」




「あたし、そーいうのにウトいの!そんなこと言うなら、つけない」




プイと顔を背けると、ハハッと笑っている。




「やっぱ、お前ってワガママで素直じゃねーな」




「うっ……」




郁実があたしの顎を軽くつかみ、目が合うようにする。




「もしかしたら、ずっと待たせることになるかもしんない。けど、真央が俺のことを信じてくれるなら、絶対に裏切ったりしないから」




郁実の真剣な表情に、反発する気が一瞬で失せた。




コクンと静かに頷くと、目がなくなっちゃうぐらい無邪気に郁実が笑った。




この笑顔は……




テレビや雑誌では見れない、郁実がホントに嬉しいときにする笑顔。




あたしだけに向けられた、郁実の気持ち。




あたし……




これからもずっと、




この人と、一緒にいたい。





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