チョコよりも甘く
「ううん、、いいの…。」



玲汰の死角にいる紗姫は、無表情であったが、明るい声でそう言った。

無理している紗姫に、玲汰はすぐ気付いた。







玲汰はリビングに戻り、ミネラルウォータが注がれたコップをテーブルの上に置いた。




「紗姫、、、おいで?」


紗姫は薬を持って、玲汰のほうへ向かって歩いた。








そんな紗姫の無表情な顔を見ていると、

玲汰は辛かった。









俺は紗姫を幸せに出来るのか。


龍斗への想いを消せないままの紗姫、きちんとケリをつけないままの紗姫と一緒にいて良いのか。





そう思いながらも表には出さず、玲汰は心の中で、必至に辛さと闘っていた。






紗姫は玲汰の前でとまり、切なげな笑顔を見せた。

しかし紗姫のこの作り笑いによって、玲汰は逆にもっと不安に包まれた。


< 124 / 172 >

この作品をシェア

pagetop