チョコよりも甘く
紗姫はコップを手に取り、薬を飲んだ。


ごくっ…

水が喉をつたるのがわかった。





その時、紗姫の携帯が鳴った。


♪~♪~♪



再びポケットから取り出すと、≪龍斗≫と表示されていた。

玲汰はあたしの表情を見て、すぐに察したのだろう。
「出な、」と笑顔で言った。



その笑顔を玲汰が無理してつくっていたなんて、あたしは気付くことさえ出来なかった。

あたしがもう少し大人で、ちゃんと気付けるような人だったら、誰も傷付けずに済んだのに。





ピッ


紗姫は恐る恐るボタンを押した。



「もしもし…」

(今すぐ家に来い。)

電話越しに聞こえる、龍斗の冷たい声。


「あたし……」

(いいから早く来いよっ!!)


こんなに怒った龍斗の声は初めてだった。
怒るのも無理はない。
あたしが悪いのだから。


「わかった、」


ピッ―――


電話を切り、玲汰の方を向いた。





玲汰はあたしを黙ってじっと見つめていた。











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