チョコよりも甘く
あたしの中に、小さなイノチが宿ってる。

あたしはこのイノチを、守りぬくことは出来ないんだ…、


急なことで、母親っていう自覚はあまり無いかもしれないけど…、どっちみちあたしは母親失格なんだ…。



あたしはどうしたいんだろう

産みたいのかな



でももし産みたいのだったら、きちんと翔と向き合わなくてはいけないはず。

向き合うのは怖い。



あたしは現実と向き合うのが怖いからって…、小さなイノチを犠牲にするの…?


―ううん、イノチはみんな同じ重さ。小さいイノチじゃなくて、あたしの赤ちゃんのイノチなんだ…



あたしの赤ちゃん…。今でも大好きな彼とあたしの…赤ちゃんなんだ。


でもあたしは一人で産む勇気がない。



そう考えるとあたしは自分が嫌になった。殺したくなった。




あたし…最低だね。





診察はいつの間にか終わり、あたしはお母さんに腕を支えられ、診察室を後にした。




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