チョコよりも甘く
会計をまってる間、お母さんは、渡された書類に一通り目を通していた。

彼女は鼻と目を赤くして目頭を押さえていた。



そんなお母さんを見ると、あたしの犯した過ちの、ことの重大さを身に沁みて感じる。



―――――お母さん……

こんな娘で…ごめんね?




あたしは何度も、声に出さずに謝っていた。




名前が呼ばれ、お母さんは財布を持って立ち上がる。

「あなたはここで待ってなさい。」
涙ぐんだ声でそういい残し、受付カウンターまで足を運んだ。



会計が終わり、タクシーで家まで帰る。


家にはお父さんがいて、きっとまだ、妊娠を認めたくなくて、いらいらしているのだろう。


会いたくない。話したくない。



あたしはただそう思うばかりだった。
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