チョコよりも甘く
「ただいま」


家は静まり返っていた。




誰もいないのかな?と思いつつ、リビングへ入った。








あたしの目に映ったのは、ただ独り電気をつけずに座り込むお父さん…。

何と言えばいいのかわからず、あたしはお母さんの言葉を待った。







「電気ぐらいつけたら?」


お母さんはスイッチを押し、椅子に座った。
あたしも続くようにして座った。






「うん、まあな」


お父さんは酒を飲んでいた。
昼間から顔を真っ赤にしている。




そんな父の姿をみると、ますます申し訳ない気持ちでいっぱいになった。







「あたし、やっぱり妊娠してたの…」



あたしは率直に伝え、父の反応をうかがった。




ずっと黙りこんでいたが、少し経って口を開いた。






「…馬鹿娘。勝手にしろっ」




父はそう言うと、フラつきながら部屋を後にした。


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