チョコよりも甘く
「それでも私たちは結婚したの。それからが大変だった…、お金の余裕がなくて、産むのやめようかと思うことさえあったわ」






なんとなくわかるような気がした。



今のあたしはもっと大変になるだろう…







「大和が生まれてお互いに支え合ってきたから、今の暮らしがあるんだと思う。産んで良かったと私は思ってるけど、、…葵に頑張れる自信がないなら、お母さんは反対するわ」







正直自信は全くない。





後悔の中で生まれてしまった子を、あたしは愛せるのか。
翔が逃げてしまった今、あたしは独り。




それでも、このイノチを守りたい。







「お父さんも、葵を苦しませたくないから怒ってるのよ」







涙がこぼれた。

溢れてくる感情を抑えられなかった。







「少し考えてくるね。」




お母さんは頷き、あたしが部屋に向かうのを見送った。

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