チョコよりも甘く

決意

「葵……。ごめんな?」
翔はただ一言そう言って手をつないだ。



それからあたしたちは無言のまま翔の家へ向かった。


翔がドアを開けて、あたしを誘導する。


あたしは軽く「ありがと」を言うと、中へ入った。


「おじゃましま―す…。」


いつもなら仕事で居ないはずの翔のお母さんが出迎えた。

「いらっしゃい、葵ちゃん…。あがってちょうだい」

翔のお母さんは泣いていた。


翔は後から入り、あたしのスニーカーも一緒に揃えてくれた。


まだかがむ事は困難では無いけれど、そんな翔の小さな、自分への思いやりが嬉しくて仕方なかった。



あたしたちはリビングに向かった。


キッチンの方で、ハーブの様な良い匂いがする。

お母さんはキッチンの方へ向かった。



リビングの大きな液晶テレビの前に、翔のお父さんが座っていた。


彼はあたしが挨拶をしたところでやっと気付き、会釈をしてきた。


「とりあえず座って。」

翔はそう言うと、あたしの肩を支え、ソファに座らせた。


翔のお母さんがプレートをもって戻ってきた。

「どうぞ。」

彼女は切なげな笑顔を見せた。

改めて近くで見てみると、非常に若く、かわいらしいお母さんだ。

まるで何かの雑誌に載っているモデルの様な顔立ちだった。




こうしてあたしたち四人は、一つの小さなテーブルを囲み、重要な話へと切り出した。
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