チョコよりも甘く
翔は多分あたしが雑誌でも読んで待っていると思っているだろう。


どんなリアクションするかな…


あたしがそんなことを考えていると、さっきの若い女の店員がイスまで誘導した。

おとなしく指示に従い、イスに座る。


「長い髪ばっさり切っちゃうんですね!お客様はお顔が小さいからきっと似合いますよ!」


あたしは照れたように笑ったが、内心はお世辞としかとっていなかった。


「髪色はどうなさいますか」


そう言われて見ればあたしは髪を染めたことがない。

ずっと黒髪のロングだった…。


「じゃあ…明るい茶色に。」




こうしてあたしは、母親になるために髪を切ることにした。
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