チョコよりも甘く
放課後、またいつものように龍斗がやってくる。


「紗姫、帰ろ―ぜ」



肩から鞄をさげ、壁にもたれかかっている龍斗はいつもよりかっこよく見えた。



「うん!!」


あたしは返事をして、鞄を肩にさげた。

そして机のわきにぶら下がった紙袋を手に持ち、小走りで龍斗のもとに向かった。






あたしたちは昇降口へ向かおうと歩き始めた。




「今日…俺ん家くるか?」

龍斗は何かを企んでいるかのような目つきで言ってきた。




「う―ん、あたしの家きなよ!」

あたしはそれがなんだか怖くて、そう返した。




「まぁ場所はどこでもいいんだけどね…、紗姫と二人きりになれるなら、、」


龍斗は小さくそう呟いて顔を背ける。


そんな龍斗が可愛くて、あたしはくすくすと笑った。

龍斗も笑いかえし、手を繋ごうとしたとき、龍斗の動きがとまる。





なんだろうと思い、龍斗の見つめる先を追うと、そこには………玲汰がいた。
< 159 / 172 >

この作品をシェア

pagetop