チョコよりも甘く
やはり玲汰が向かった先は中庭だった。





2人はそっと腰を掛けた。
あの時と同じ、ベンチに…






「紗姫が元気になってよかったよ、」




玲汰はそう言うと、タバコに火を付けた。
初めて見るその姿に紗姫は驚きつつ、再び切ない気持ちで覆われた。





ふと見上げると、上には灰色の天井が広がっていた。
天気予報では雨がふるとのこと。







「玲汰…ごめんね、」


紗姫は小声で言う。


玲汰は煙をふくと、口を開いた。





「俺は、紗姫が笑ってくれるだけでいいんだ。お前が幸せになることが、俺の幸せだから…」










心の奥底から込み上げる想い。

何と言えばいいのか分からない…
すごく胸が痛いんだ。








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