チョコよりも甘く
紗姫は何も考えず、ただずっと走っていた。



「ハア…っあれ?ここ…どこ?」




そこは東棟の中庭だった。
東棟には医歯薬コースの教室がある。
紗姫が来るようなところではなかったので、みんなに変な目で見られた。





紗姫は息を切らし屋根の付いたベンチに座り込んだ。








本当に、婚約してるの?


だとしたら、あたしは何?
莉子は確かに、婚約しているといった。


それに、龍斗だって…呼び捨てだったし、抱きつかれて抵抗しなかった。



どうなってんの?
あたしはどうすればいいの?







目から涙が溢れていた。

そんな時、後ろから声がした。



「…紗姫??」





え??龍斗!?







振り向いたあたしの目に映ったのは、龍斗ではなく
玲汰だった。




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