チョコよりも甘く
「紗姫っ…!!」
遠くから誰かが走ってくる。龍斗だよね…?
「ほら、行ってあげなよっ」
玲汰は紗姫の背中をポンッと押し、龍斗とは逆方向へと歩っていった。
「ありがとっ!!」
そう言うと、玲汰は振り返って笑顔を見せた。
玲汰の言葉はまだよく理解できないけど、
彼がいなかったらあたしは今も逃げ出しているだろう、と思った。
「龍斗…」
紗姫は龍斗のもとへ歩き寄った。
「なんでさっきいなくなったんだよ!?」
傷ついたあたしのこころに突き刺す、龍斗のキツイ言葉。
「……。」
「心配したんだぞっ」
龍斗の馬鹿。
何もあたしのことわかってくれない…
ねぇ、龍斗…
いつになったらこの不安は消えてくれるの?