チョコよりも甘く
…部屋を眺めてると、机の上に置いてある写真に目が留まった。
手に取って見てみると、幸せそうに笑っている、龍斗の家族写真だった。
そこには、祖父母,両親,龍斗,龍斗に雰囲気が似ている男の人,可愛らしい女の子が写っていた。
「ねぇ龍斗ー、お兄さん?と…妹さんさん?…いるの?」
紗姫がそう聞くと、龍斗の手が止まった。
そして、落ち着いた声で答えた。
「妹はいるよ、中2のね。…兄貴は……もういないよ」
「もしかして・・・?」
あたしは珍しく感が働き、あえて言わないようにした。
「紗姫が思ってる通り。兄貴は…死んだよ」
覚悟していたはずなのに、龍斗の発言はあたしのこころに、深く響いた。