チョコよりも甘く
 家に帰ってすぐ暖房をつけたが、部屋はなかなか暖まらなかった。




「さみーな。」


龍斗が呟いた。



「あ、うん。じゃぁお風呂沸かしてくるね?」




そうあたしが言うと、龍斗はあたしをじーっと見つめてきた。




「な、何?」




龍斗はしばらく返事をしなかった。
そしてやっと開いた口から、あたしは耳を疑う様な言葉を耳にした。






「一緒に入るか?風呂。」







「はあぁぁ!?」






龍斗は相変わらず破廉恥だが、それに慣れてきている自分がなんだか恥ずかしかった。







「何言ってんの!?はいらないよっ!!馬鹿!!」


あたしは一生懸命否定した。






「ふーん…そっか…。」






龍斗は悲しい顔をした。あたしが初めてみる表情だった。



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