チョコよりも甘く
あれから何本飲んだだろうか。


紗姫の意識は朦朧としていた。




遠くのほうで龍斗の声が聞こえる。




「紗姫?おいで。」



龍斗が手を広げている。



いつものあたしだったら、恥ずかしくて否定している。

しかしお酒が入っているために大胆になれた。




紗姫は素直に従った。





「かわいーな…」




意識が朦朧としている中でもはっきりと聞き取れた。

思わず顔が火照ってしまう。



「してもいい?」



龍斗は紗姫の背中に手をまわしてそう言った。


「…。」



紗姫は何と言ったら良いのか分からなかった。


龍斗とだったら嫌じゃない。ううん、むしろ嬉しい。







でも、「良いよ。」何て言う事は恥ずかしくて出来ない。





しばらくの間、あたしも龍斗も黙っていた。





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