チョコよりも甘く
「う゛~。だってぇ~」


あたしはべそをかくように言った。


「はいはい、ごめんさい。紗姫も早く“南城龍斗”に告りなって!」


葵に背中をポンッと叩かれ、少しよろついた。


「む、無理!絶対無理!振られるって!」


あたしは顔を真っ赤にし、首を横に振りながら否定した。




あたしが好きなのは、南城グループの息子で、
〝顔よし、頭よし、性格よし、スポーツよし、金持ち〟
のオールマイティーな“南城龍斗”っていう人。


あたしなんかが付き合えるわけないよ…





「勇気だせばいいのに…」

葵はボソッと呟いた。




そう、

そのちょっとの勇気をだすのがすごく難しいの。


あたしは臆病だから、今の関係を崩すのが怖くて、


あの日から

ただ遠くで見ていることしか出来なかった。



< 7 / 172 >

この作品をシェア

pagetop