チョコよりも甘く
 
「ご飯できたわよ~」


おばさんの声が聞える。




あたしたちはご飯が出来るまでの間、葵の部屋でバレンタインデーの事について話し合っていた。


雑誌の特集には、≪男子が嬉しいバレンタインデーのシチュエーション≫というタイトルがおっきく表示されていた。




「「はーい!!」」

あたしたちはリビングへ向かった。





「いっただっきまーす!!」

葵はすぐに食べ始めた。



「わぁ、、おいしそう!!いつもすみません…。いつもほんっとにおいしいです!!」

紗姫は、おばさんが本当は怖いという事を思い出し、少し礼儀正しくした。





「な~に、改まっちゃってんのよ!!ささ、どんどん食べてーっ」

おばさんは笑顔でそう言った。



「いただきまーす。」




今日はハンバーグにサラダだった。




みんな笑顔でおいしそうに食べている。





(いいなぁ、あたしもこんな家庭に生まれたかった。)




紗姫は心からそう思った。






―--この後この家が大変な事になるのも知らずに。


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