チョコよりも甘く
そのときふと頭をよぎった大和さんの顔。




あたしは見る見るうちにあの感触を思い出すと同時に、龍斗への罪悪感が込み上げてきた。




「この、甘えんぼ。」



龍斗はそう言って紗姫を抱きしめ返そうとした。







しかしあたしはもう龍斗への罪悪感しか頭になく、龍斗の手を振りほどいた。






「…ごめん、あたし…。」





「なんだよ、そっちから抱きついてきたくせに。」





龍斗は怒った表情で紗姫を睨んだ。

怒るのも当然だ。






「ううん、ごめんなさい。、、、なんでもない。」







紗姫は大和さんの事を思い出したため口を洗いに行こうと、その場から逃げよう
とした。








―グイッ







龍斗は紗姫の手首をつかんだ。







「なんだよ、話せよ。田山ん家で何か有ったんだろ?」





あたしはドキッとした。


「なんにも、ないよ?」








紗姫が誤魔化すように言うと、龍斗は黙って手を離した。











「勝手にしろ。」








あたしは涙が出そうになった。


リビングを後にし、洗面所に行って口を洗った。





「うっ、ヒック…、うぅー、、」





紗姫は泣くのを必死でこらえた。



洗面所からじゃ鳴き声が龍斗に届いちゃう。






紗姫は自分の部屋へ行き、鍵を閉めた。



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