チョコよりも甘く
 
 ―ガシャガシャッ






「開けろ。」






龍斗は今までにない、とても恐ろしい声でそう言った。






あたしは一瞬ためらいがあったが、鍵を開けた。









―ガチャ








「おまえさ、田山ん家からここに来る途中、誰といた。」



龍斗は冷たい表情で聞いてきた。



「えっ…と、葵のお兄さんだけど…。」



「なんか俺に言わなくちゃいけない事はない訳?」







紗姫は悟った。キスの事が知られた、と。



家からあの信号は丸見えだ。
きっと帰りを待っていた龍斗は、窓から覗いていたのだろう…



あたしは今さらだけど正直に話そうと思った。











「葵のお兄さんに…キスされた…。あっ、あたしは必死で抵抗したんだけど…だめで。」






紗姫は自分を正当化しようとしていた。





「無防備だったオメェがワリんじゃねーのかよ。」




「…はい…。ごめんなさい。」



龍斗の言葉が胸に刺さり、紗姫は下を向いて謝った。








あたしは怖くて涙が出てきた。





「最初から言えよ..ちゃんと。」




龍斗は目頭を押さえた。









もしかして龍斗、、、泣いてるの??










あたしは大事な人まで大切にする事が出来ないの??









あたしは本当に…





龍斗と付き合ってて






いいのかな。



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