チョコよりも甘く
そうしてあたしたちは支度をし、手を繋いで家を出た。
少し歩いたところで、一番会いたくない人に会った。というより待ち伏せされた。
「りゅーとっ!!」
後ろから龍斗に抱きついてきた。
そして、あたしと龍斗の手は離れた…
「うわっ…おい、莉子っ!何すんだよっ」
龍斗は莉子を振り払った。
それを見て、つい口角があがってしまった。
「いいじゃん別にィ。私だって用があってきたんだよっ」
「用って何…」
莉子は冷たく言われ、少し怒ったような顔をした。
「チョコあげようと思ってたの!!」
紙袋を手前に出した。
それは、1粒1000円くらいするチョコだった。
「ああ。ありがと、じゃあな。」
龍斗はチョコを受け取った。
無理やり帰された莉子は、不機嫌そうに角に止めてあるピカピカの黒い車に乗っていった。
ブゥゥゥゥ―――――
車の走り去る音だけが、虚しく響いた。