チョコよりも甘く
「葵ちゃんっ…どうしたの?」
階段を下りたところで、倉田先生(保健の先生)が駆け寄ってきた。
「せんせぇ…あたし、、、ひっく、」
「大丈夫?とりあえず中入ろっか。」
先生は葵の背中をさすり、紗姫と一緒に保健室へ誘導した。
ガラ――
「ちょっと待っててね、」
あたしたちが中へ入ると、先生は慌てるように言い、ベッドのカーテンを開けた。
「こら、また寝てる。今日はもう帰りなさい!」
誰かが寝ていたようだ。
先生は呆れたように怒っている。
「あいよ、」
聞いたことのある声。
下を向いててよく見えないけど、あたしの知っている人だ。
声の主は立ち上がり、こっちを向いた。
「紗姫…」
玲汰だった。
いつもより少し疲れたような顔をしている。
「あ、うん。おはよう、」
紗姫は葵が心配で、玲汰とあまり喋りたくなかった。
そっけなく返事をすると、玲汰はそのまま出て行ってしまった。
正直、少しショックだった。
普段優しくしてくれたから…