チョコよりも甘く
「紗姫ちゃん、何ボーっとしてんの!?」

倉田先生が紗姫の頭をポンッと叩いた。



「え…あっ、はい」




紗姫は葵の隣に座り、先生はお茶を煎れ始めた。





「で、…どうしたの?」


「…あたし……に、……ん…妊娠…しちゃった……ふぇっ」




葵は泣きながら小声で言った。





そして先生は手を止め、葵の目の前に座った。







葵は目を真っ赤にさせながら先生を見た。






その時の先生の顔は、なんともいえない複雑な表情だった。
あたしがその気持ちを知ったのは、何年も後のこと。






「…誰の?」
「…か、か…ける…中井翔、」



先生が怖かったのだろう。
葵は声を震わせながら言った。





「でも、翔は…、、俺じゃないって…ひっく…」

紗姫は泣き崩れる葵の背中をさすった。





「ちゃんと避妊してくれた?」
「…1回だけ…してなかったの、」




先生は葵を抱きしめた。
…あたしはただ、見ていることしかできなかった。





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