嘘の誓いとLOVE RING
それから20分ほどして、タクシーは役所へ着くと停車した。
そして降りる間際、運転手さんは私に何かを手渡したのだった。
とっさに受け取り見てみると、それは赤い石で出来た小さなお守りだった。
まがたまの形をしたシンプルなものだ。
「新婚さんにあげてるんだ。子宝のお守り」
運転手さんは、シワを深くして笑顔を浮かべると、タクシーを走らせ去っていたのだった。
「子宝の…お守り?」
その場に呆然と立ち尽くす私を見て、凌祐は声を殺して笑っている。
「何がおかしいのよ?」
口を尖らせると、凌祐は眉を下げて微笑んだ。
「悪い、悪い。子宝の話って、本気だったんだなと思ってさ」
「疑ってたの?あんなに話に乗ってたくせに、凌祐って性格悪いのね」
とりあえずお守りをバッグへ入れると、凌祐を無視する様に入口へ向かって歩いた。
「疑ってたわけじゃないよ。ただ、そこまで本気だったのが意外だっただけだ」
凌祐は大股で私に追いつくと、手を掴み指を絡ませてきたのだった。
「ちょっと、何するのよ」
「新婚なんだから、いいだろ?ごく自然な格好だと思うけどな」