嘘の誓いとLOVE RING
「本当に、さっきは虫が入って来ただけなの。誤解よ」
「だとしても、何であの場所で二人きりだったんだ?」
それを聞かれると、答えようがない。
離婚を考えていて、それを圭祐に確認されていただなんて、言えるはずもなかった。
「どうなんだよ?言えない理由なんだろ?」
追い詰める様な言い方に、だんだんと腹立たしさを覚えてくる。
結局、お互い疑い合っているわけだ。
それもそのはず。
それだけ、私たちには信頼関係がないのだから。
これが愛のない結婚の実態だ。
「疑いたければ疑えば?」
開き直った私に、凌祐は少なからず動揺を見せた。
「凌祐は、私を信用していないんでしょ?こんな気持ちで一緒にいたって、苦しいばかりよね?」
「何が言いたいんだよ?」
今度は、凌祐の声が震えている。
今だ!
そう思った私は、思い切り凌祐の体を押しのけた。
完全に油断していた凌祐は、体がよろけている。
こうでもしなければ、この場からは逃げ切れそうになかった。
「凌祐とは、しばらく距離を置かせてもらうから」
そう言い捨てて、部屋を出たのだった。