嘘の誓いとLOVE RING


顔バスとはさすがだ。

さらにノッた私は、質問を続けていた。

「どんな所?」

「完全個室なんだよ。ライトはブルー系の色気のある店でさ」

「へぇ~」

そんな店があるとは知らなかった。

ライトがブルー系とは、どんな雰囲気なのだろう。

まさか、怪しい店って事はないだろうか。

半分、不安を持ちつつも、凌祐へのあてつけでいっぱいだった私は、不自然なくらいの高いトーンで、「早く行きたいなぁ」と言ったのだった。

だけど、凌祐はそれ以上の反応は見せず、エレベーターの前で止まるとボタンを押した。

エレベーターを待つ間、お互い会話がない。

この時間を、気まずく思っているのは私だけなのか。

と思うくらい、みんなはいたって普通にエレベーターを待っている。

そんな中、手持ち無沙汰な私は、無意識に結婚指輪をいじっていた。

本当に、凌祐とはどうなってしまうのだろう。

そんな事を考えながらいじっていると、弾みで指輪が外れてしまい、軽快な音を立てて転がっていった。

それも、凌祐の足元に。

「何やってんだよ、美亜」

圭祐に耳打ちされて、慌てて拾い上げようとすると、それより先に凌祐に拾われてしまったのだった。

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