嘘の誓いとLOVE RING
圭祐が連れて行ってくれた“顔バス”の店は、繁華街を外れた静かな場所にあった。
外観はシンプルなもので、二階建ての建物の二階に店がある。
「いらっしゃいませ、圭祐さん」
黒スーツに身を包んだ川代くらいの長身の男性が、スマートに扉を開けた。
茶色の長めの髪は、撫でる様に後ろに流れている。
まるで、ホストの様な男性だ。
「いつもの部屋、空いてるか?連絡無しで来たから、ちょっと心配なんだけど」
「もちろんです。既に凌祐さんも来られてますよ」
凌祐が!?
思わず後ずさりをしてしまう。
何で、凌祐がここにいるのか。
圭祐も驚いた様に目を開くと、私と顔を見合わせた。
「とりあえず、案内するよ」
圭祐は気を取り直した様にそう言うと、呆然とする私の手を取り、店の奥へと連れて行ったのだった。
店内は、ブルーのライトで照らされていて薄暗い。
足元がはっきり見えないくらいだ。
店内は、軽快なダンスミュージックが流れ、どこか騒がしい雰囲気だった。
小さな丸テーブルが、ちらほら置かれていて、男女のグループが、立ち飲みをしている。
まるで、クラブとバーを併せた様な店だ。