嘘の誓いとLOVE RING


奥の部屋は、扉で仕切られていて、そこを開けると凌祐と佐倉さんが、ソファーに座っている姿が飛び込んできた。

ここは個室になっていて、扉を閉めると店内の騒がしさが、完全にシャットアウトされる。

そのお陰で、落ち着いた雰囲気になっていた。

二人掛けのソファーが2脚あり、黒色で皮張りになっていている。

それが、ガラステーブルを挟んで向かい合う様に置かれていた。

景色を眺める為の窓が一つあり、そこには丸テーブルも置かれているのだった。

「兄貴、何でここにいるんだよ」

嫌みぽく聞いた圭祐に、凌祐はしれっと答えている。

「お前たちが行くって言ってたから、唯香も連れてってやろうかなと思っただけだよ」

嫌がらせだ。

これは完全に、凌祐の嫌がらせに違いない。

だけど、私が二人の仲を疑っているとは知らないはずなのに、佐倉さんを使ってくる辺り、凌祐の嫌がらせのセンスを感じる。

「俺は美亜と二人きりで、ゆっくりしたかったんだけどな」

圭祐はガッカリした様に言うと、凌祐の向かいに座った。

そして、立ち尽くす私に手招きをしている。

仕方なく圭祐の隣に座ると、佐倉さんへ目を向けた。

ニコリと微笑むその笑顔からは、余裕すら感じられるのだった。

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