嘘の誓いとLOVE RING


凌祐と圭祐は店の常連からか、頼みもしないのにカクテルが作られてきた。

そして、私と佐倉さんの前にも置かれたのだった。

「社長、綺麗な色のカクテルですね」

佐倉さんに出されたカクテルは、薄いピンク色のものだ。

炭酸が入っている様で、グラスの中で小さな泡が立っている。

「この店は、客のイメージでカクテルを作ってくれるんだよ」

凌祐の説明に、佐倉さんは嬉しそうに微笑んだ。

ピンクか…。

美人な佐倉さんには、可愛すぎる色に思えるけれど。

と、カクテルの色にでさえ、嫉妬心が出てしまう。

私のカクテルは…、白色だ。

ベースはミルクか。

二層になっていて、下層部分はベリーの赤色をしていた。

佐倉さんと比べれば、シンプルなもの。

それが、私のイメージというわけか。

華やかな佐倉さんとは違って、私は地味に見えるのかもしれない。

そんな卑屈な考えに、嫌気が差してくる。

軽く乾杯をした後、一口カクテルを飲んでみたけれど、味なんて感じなかった。

だって乾杯でさえ、凌祐はグラスを合わせてくれなかったから。

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