嘘の誓いとLOVE RING


その凌祐は、佐倉さんと談笑している。

肩が触れ合うほどの近距離で、時々目を合わせては笑顔をこぼしていた。

そんな光景を、圭祐は黙って見ていて、私はというと進まないカクテルを見つめるだけだった。

帰りたい…。

とは言っても、帰った先にも凌祐はいる。

帰りたい様で、帰りたくない様で…。

そんな憂鬱な気分でいた時だった。

突然、立ち上がった圭祐が、私の腕を掴んで立ち上がらせたのだった。

突然の行動に、私はもちろん凌祐に佐倉さんも驚いている。

「美亜、飲み直しに行こう」

「えっ?飲み直す?」

「そうだよ。俺は今夜は美亜と二人で飲みたかったんだ。とんだ邪魔が入ったからな」

圭祐は凌祐を睨むと、私を引っ張る様にして部屋を出た。

そして大股で歩きながら、圭祐は言ったのだった。

「ったく。兄貴は白々しいんだよ。あんな子供ぽいオジサンは放っておいて、飲み直そうぜ」

さっきのホストの様な男性に、圭祐は一言二言何かを言うと店を出た。

そしてタクシーを捕まえると、繁華街の居酒屋へ連れて行ってくれたのだった。

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