嘘の誓いとLOVE RING


すると、圭祐は口を尖らせた。

「そういう意味じゃないよ。佐倉さんの件が解決したら、兄貴から聞けばいい」

「凌祐から?何を?」

「どうして、美亜と結婚したのかって事」

どうしてって、それはお父さんの命令だからに決まっている。

それを今さら聞けというのか。

圭祐の意図が分からないけれど、それ以上は聞かなかった。

聞いたところで、教えてくれそうにもないからだ。

「覚えてたら、聞いてみるわ」

そう答えた私は、飲み放題をいい事に、お酒を飲み続け、気が付けば完全に酔っていたのだった。

「ねえ~、圭祐。次はどこに行く?」

頬杖をつき、飲みかけのグラスに手を伸ばしたところで、圭祐にそれを取り上げられた。

「飲み過ぎ。もうダメだよ。それに、次も無し。そろそろ帰らないと」

「帰る!?嫌よ!嫌!」

凌祐がいるマンションへ帰るわけがない。

「ねえ、圭祐。今夜だけ泊めてよ」

「何言ってんだ!?お前、一応人妻なんだぞ?いいわけないだろ?」

何をそんなに、うろたえているのか。

普段は、余裕たっぷりなくせに、こんな姿を見せられると楽しくなってくる。

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