嘘の誓いとLOVE RING


まさか、携帯にGPSでも設定されているのか。

すると、圭祐が突然声を上げた。

「あっ、そうか。さっき店を出る時に、あいつにここに来る事を話したもんな。兄貴に話したのか。口止めをしとくべきだった」

“あいつ”とは、恐らくあのホストの様な彼の事だろう。

そういえば、店を出る間際に会話をしていた。

その時に、ここへ来る事を話したのか。

それにしても、なんてわざとらしい言い方。

きっと、最初から計算済だったに違いない。

もしかすると、凌祐に話す様に頼んでいたのではないかとさえ、疑ってしまう。

そうでなければ、ここへ凌祐が来るはずがないからだ。

結局、凌祐と帰れと言いたいらしい。

圭祐は、一体どっちの味方なのだろう。

ため息をついて立ち上がった。

「佐倉さんは?」

真っ直ぐ凌祐を見て、一番聞きたい質問をした。

すると、凌祐は淡々と答えたのだった。

「もう帰ったよ」

「ふ~ん。じゃあ、私も帰る。でも、一人で帰るから」

今さらここに、何しに来たのか。

まさか、私を迎えに来たなどと、言うつもりなのか。

それなら、おあいにくさま。

私は、折れるつもりはないのだから。

素直に従うわけもなかった。

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