嘘の誓いとLOVE RING
今度は、凌祐が言葉を失っている。
その側で、圭祐が呆れた顔で首を横に振っていたのだった。
「じゃあ、凌祐おやすみなさい。圭祐、また改めて飲み直そうね」
と、言い残して身を翻す。
決まった!
お酒に酔い、自分に酔い。
今夜の私はどうかしている。
だけど、私だっていつまでも凌祐に振り回されっぱなしなわけがない。
佐倉さんとの仲を見せ付つけるなら、こちらだって黙って見ていないから。
そう強気に思えたのは、やっぱりお酒の力だった様で、一晩経ったら自己嫌悪に陥っていた。
相変わらず、朝は先に行く凌祐と、最後に顔を合わせたのは居酒屋で、かろうじて帰ってきたのが分かったのは、洗濯物があったからだった。
それを私は、出勤前に洗濯をして干した。
本当は、こんな些細な家事が、嬉しかったりする。
だけど、指輪までぶん取ってしまい、ますます引っ込みがつかなくなっていたのだった。
そして、凌祐は会社では佐倉さんと二人でいる姿を、たびたび見せる様になっていた。
会議でお茶出しをする佐倉さんに微笑んでみたり、朝食も夕食も家で取らなくなっていた。
この間は、朝から佐倉さんが手作りのお弁当を持っていたのを目撃してしまった。
もしかすると、凌祐にあげているのか。
そう思うと、胸が苦しい。
そしていつの間にか、洗濯物すら自分でやっていて、私は凌祐の為にしてあげる事がなくなっていた。
そんなすれ違いが続く中で、ようやく出張の日がやってきたのだった。