嘘の誓いとLOVE RING


「部屋に戻ろうかなぁ」

どうせ、私がいなくても誰も気にしないだろうし。

そもそも、取締役の中には仕事がある人もいて、全員が最初から最後まで出席するわけではない。

だから、私が途中抜けをしても、たいした問題ではないという事だ。

涙を拭い、立ち上がった時、目の前が回る感覚に襲われ、その場にしゃがみ込んでしまった。

脂汗が出ると共に、動悸も速くなる。

どうやら、貧血になったらしい。

「寝不足が、たたったのかも」

しばらくその場で、おとなしくしていると、

「美亜!?大丈夫かよ」

圭祐が、血相を変えて走ってきたのだった。

「圭祐…。何でここに?」

顔を見上げるだけで精一杯で、立ち上がる事が出来ない。

「美亜の姿が見えないから、探してたんだよ。体調悪いのか?真っ青じゃないか」

側に駆け寄った圭祐は、私の手を取り体を支えてくれた。

「最近、ちょっと寝不足だったから。ありがとう。だいぶ良くなったみたい」

圭祐に支えられながら、立ち上がったけれど、まだ足元がフラつく。

「部屋まで送るから、休んだ方がいい」

そう言われて、圭祐に連れられ部屋へ戻ったのだった。

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