嘘の誓いとLOVE RING
10階にある客室の一つが私の部屋で、どうやら隣が佐倉さんらしい。
「ほら、横になって」
「うん…。ありがとう」
ベッドに横になると、ようやくホッと出来た。
「ねえ、圭祐。私は大丈夫だから、戻って」
すると、圭祐は優しく微笑んだ。
「ああ、戻るよ。美亜が眠ってから」
「…寝れそうにないから。圭祐がいなかったから、みんな心配するよ。だから早く…」
すると、圭祐は私の言葉を優しく遮った。
「美亜がいなくて、俺は心配したよ」
「え…?」
「部屋を出るなら出るって、言って欲しかったな」
その圭祐の言葉は、心の底に響いた。
私がいなくなって、気付いてくれたのは圭祐だったのだ。
張り詰めていた気が緩み、涙がとめどなく溢れてくる。
「美亜?どうしたんだ?」
涙で滲んでその姿がぼやけるけれど、心配そうに見ているのが分かった。
「ありがとう、圭祐。私、圭祐みたいに優しい人と結婚したかった…」
心が弱くなっていたとはいえ、私の言葉は無責任だったに違いない。
だけど今は、本当にそう思ったのだった。