嘘の誓いとLOVE RING


10階にある客室の一つが私の部屋で、どうやら隣が佐倉さんらしい。

「ほら、横になって」

「うん…。ありがとう」

ベッドに横になると、ようやくホッと出来た。

「ねえ、圭祐。私は大丈夫だから、戻って」

すると、圭祐は優しく微笑んだ。

「ああ、戻るよ。美亜が眠ってから」

「…寝れそうにないから。圭祐がいなかったから、みんな心配するよ。だから早く…」

すると、圭祐は私の言葉を優しく遮った。

「美亜がいなくて、俺は心配したよ」

「え…?」

「部屋を出るなら出るって、言って欲しかったな」

その圭祐の言葉は、心の底に響いた。

私がいなくなって、気付いてくれたのは圭祐だったのだ。

張り詰めていた気が緩み、涙がとめどなく溢れてくる。

「美亜?どうしたんだ?」

涙で滲んでその姿がぼやけるけれど、心配そうに見ているのが分かった。

「ありがとう、圭祐。私、圭祐みたいに優しい人と結婚したかった…」

心が弱くなっていたとはいえ、私の言葉は無責任だったに違いない。

だけど今は、本当にそう思ったのだった。

< 122 / 220 >

この作品をシェア

pagetop