嘘の誓いとLOVE RING
誰かとは誰なのか。
自分たちをフォローしてくれる人間など、心当たりもないけれど、圭祐が慰めで言ってくれているのが分かったから、それに納得した表情を向けたのだった。
すると、そんな私を確認した圭祐は、大きく伸びをして立ち上がった。
「よし!俺は戻るよ。いつまでもここにいたら、変な誤解が生まれるから」
冗談めかした圭祐に、私も思わず吹き出した。
「本当ね。じゃあ、私も気分転換にロビーにでも降りてみるわ。途中まで一緒に行く」
そう言うと、圭祐は笑顔を見せた。
「それだけ元気が戻れば安心だ。じゃあ、途中まで一緒に行こう」
「うん。圭祐、今夜は本当にありがとう」
小さく首を横に振った圭祐の後について、部屋を出てエレベーターへ向かった時だった。
ちょうど、誰かが上がってきた。
そして、声で凌祐と佐倉さんだと分かったのだった。
「兄貴だ!」
小声で圭祐は、私の腕を引っ張ると、ベンディングルームへ身を隠した。
ここは、自動販売機が並んでいる場所で、アルコール類も売られている。
たまたま、ちょうどいい場所にこれがあり、息を殺して身を潜めていると、二人の会話がハッキリと聞こえてきたのだった。
「凌祐、これからが本番なんだからね?」
「ああ、もちろん分かってるよ。誰に邪魔される心配もないからな」