嘘の誓いとLOVE RING
佐倉さんが、“凌祐”と呼び捨てにするなんて、初めて知った。
そして、二人は楽しそうに笑い合っている。
どうして、笑えるのか。
私は、こんなにも苦しいのに、どうして凌祐は佐倉さんと笑えているのか…。
二人はゆっくりと廊下を歩きながら、会話を続けている。
「ねえ、やっぱり星空綺麗だったね。私、本当にいい思い出が出来た気がする」
「唯香がそう言ってくれたら、少しは気が楽になったな。だけど、夜はこれからだから。覚悟しとけよ?」
「凌祐に偉そうに言われたくない」
二人は声に出して笑いながら、佐倉さんの部屋へと入って行ったのだった。
「兄貴…。マジで許せねぇ!」
圭祐は、ベンディングルームを飛び出すと、佐倉さんの部屋へ向かった。
だけど私は、その腕を必死に捕まえたのだった。
「美亜?離せよ!今なら、まだ間に合う。二人を止めないと」
振り向き様に、圭祐は険しい顔で私に言った。
だけど私は、大きく首を横に振り、それを止めたのだった。
「いい。今、止めたところで、きっと二人はまた同じ事をするから。証拠は掴んだんだから。改めて尋問するまでよ」
「美亜…」
圭祐は足を止め、うなだれた。
そして私はというと、そんな強気な言葉とは裏腹に、大粒の涙がこぼれ落ちたのだった。