嘘の誓いとLOVE RING


「美亜、ようこそ。今日からよろしくな」

玄関から部屋へ入ると、凌祐は笑顔でそう言った。

「うん…。よろしく…」

結婚を決めてから一度だけ、ここへは見学で来た事がある。

リビングからは街が一望出来、ダイニングテーブルと黒の皮張りソファーが2組、ガラステーブルを挟んで置かれていた。

その配置は、見学をした時と何も変わっていない。

キッチンはカウンターになっていて、きちんと整理してあり綺麗だ。

テレビは壁際に置かれていて、それを見る為のソファーが別にあるのだから贅沢極まりない。

その奥には、さらに廊下があり、ベッドルームと、凌祐のプライベートルーム、そしてゲストルームがあるのだった。

さらに奥にはバスルームがある。

確か、バルコニーはリビングとベッドルームにあったはずだ。

庶民の私からしてみれば、このマンションは生活をする場所というよりは、ホテルに来たそんな感覚に近かった。

「えっと…。じゃあ、私荷物を置いてくるけど、どこに置けばいい?」

どこかまだ、他人の家へ来た感じがして落ち着かない。

とりあえず、荷物の整理でもしようと思った私を、凌祐は突然抱き上げたのだった。

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