嘘の誓いとLOVE RING
頭に血が上って、自分でも自分のやった事が信じられない。
一人になり、深呼吸をして落ち着きを取り戻すと、覗き窓からドアの向こうをチェックした。
すると、まだ凌祐が立っている。
うなだれた様子で、ドアを見つめていた。
そして、何度かノックをしようとして、その手を引っ込めている。
「凌祐…」
本当は、嬉しかったのに。
迷惑なんかではい。
部屋へ来てくれた事も、顔を見れた事も、抱きしめられた事も、全て胸が高鳴るくらいに凌祐を好きになっているから。
だけど、その全てに佐倉さんがちらついて、胸の高鳴りも崩れていく。
「凌祐…ごめんね」
そのうち、凌祐は諦めた様に、その場を去っていったのだった。
涙は枯れ果てたかと思っていたのに、また溢れ出す。
自分で追い出しておいて、どうして後悔をしているのだろう。
凌祐に抱きしめられた感触が、まだ体に残っていて切ないけれど、この苦しみから解放されたい。
帰り際、誰とも行動を共にせず、圭祐にも話す事なく寄った場所は、役所だった。
それは、離婚届をもらう為に。
そして、それを凌祐に渡すと決めたのだった。