嘘の誓いとLOVE RING
そして、崩れる様にソファーへ座ったのだった。
「どうして、知ってるんだ?唯香から聞いたのか?」
「聞いたんじゃない。たまたま、友達と話してるのを聞いただけ。今回の出張で、二人きりの時間を作る約束をしたって、嬉しそうに言ってたよ?」
私は立ったまま見下ろす様に言うと、凌祐は力無く顔を上げた。
「美亜が秘書になるのを、俺が反対したってのもそこで聞いたのか」
「うん。佐倉さん、毎日が切ないって言ってた。私と結婚した事が、よほどこたえてたみたいよ」
「そうだろうな…」
凌祐はため息をつくと、立ち上がり別の部屋からペンと印鑑を持ってきた。
そして、再びソファーへ座ると、私に問いかけたのだった。
「唯香との事、説明すれば信じてくれるか?それとも、やっぱり疑うか?」
「え?」
そんな風に聞かれて、今度はこちらが戸惑う。
凌祐は、さっきまでの動揺ぶりはどこへ消えたのか、妙に落ち着き払っていた。
そして、私の返事を聞かずして結論付けたのだった。
「言い訳する余地があるなら、これは渡されないよな。きっと、何を言っても信じてもらえないんだろうから」
そう言うと、凌祐はペンのキャップを外し、離婚届へサインをし始めたのだった。