嘘の誓いとLOVE RING
翌日、急遽午前中に用事が出来た圭祐は、どこかへ行ってしまった。
行く先をハッキリと教えてくれなかった上、私も同行する必要のない用事とは何だろう。
ゆっくりと話をする間もなく、慌ただしく行ってしまったけれど、しばらくしてそれは、実は大事な用事ではないかと思う様になったのだった。
それは、佐倉さんがやって来た事で分かった。
副社長室に来た佐倉さんは、神妙な面持ちで私を見たのだった。
「社長は、副社長と出られています。美亜さんとお話するチャンスは、今しかないと思って来ました」
どうやら、二人は同じ用事らしい。
それならば、教えてくれればいいものを、それをしてくれなかったのは、きっと何かがあるに違いない。
「話って何ですか?仕事中なので、仕事の話だけにしてください」
冷たく言い放つと、佐倉さんはきっぱりと答えたのだった。
「いいえ。仕事の話ではありませんが、大事な話です。お願いですから、話をさせてください」
話といったって、おおかたの予想はつく。
どうせ凌祐から聞いて、言い訳をしに来たのだろう。
睨みつける様に佐倉さんを見ながら、自席に着いた私は、構わずパソコンに目を移した。
それでも佐倉さんは、一歩も引く様子を見せず、目の前に立っている。
そして、ゆっくりと少し震える声で言ったのだった。
「美亜さん、私は謝りません。社長を好きだった気持ちは、悪い事だとは思っていないので」