嘘の誓いとLOVE RING
なんだ、言い訳かと思えば、自分の気持ちを伝えに来たのか。
ため息をついた私は、佐倉さんを見上げた。
「それなら、お二人で仲良くどうぞ。聞いてるんでしょうが、私たちは離婚するので」
そしてまたパソコンに目を移し、メールのチェックを始める。
とにかく、いつも通りに仕事をしなくては。
それが自分の中での、ギリギリのプライドだった。
「美亜さん、私の会話を聞かれたと社長から伺いました。もしかして、あのお手洗いのですか?」
しつこいくらいに、佐倉さんは戻るそぶりも見せずに声をかけてくる。
それに苛立ちを感じながらも、答えたのだった。
「そうよ。あの時、たまたま居合わせたの」
すると、佐倉さんはため息をついた。
「そうですか…。あの時間のあの場所なら、誰もいないと思っていたんですが…」
「おあいにくさまだったわね。だから、説明はいらないの。二人の関係も、佐倉さんの気持ちも分かってるから。だから、出て行ってくれる?」
もう目も合わさなかったけれど、気配で佐倉さんが一歩も動いていないのが分かる。
「じゃあ、美亜さん。社長の気持ちは分かっているんですか?」