嘘の誓いとLOVE RING


「バカよ佐倉さん。凌祐に、都合のいい様に抱かれるなんて」

相手が好きな人なら、なおさらだ。

「そうですね、本当にバカだと思います。でも、それでも幸せでした。好きな人に抱いてもらえるのだから」

佐倉さんの気持ちを、素直に健気だとは思えない。

だけど、恋に振り回される気持ちは理解できた。

私だってそう。

結局は、凌祐に振り回されてばかりなのだから。

「佐倉さん、それでも二人は出張の夜に会っていたじゃないですか。凌祐が誰を好きだろうと、関係ありません。私には、どちらにせよ、不貞行為をされた事には変わりませんから」

そうだ。

もはや、凌祐が誰を好きだろうと関係ない。

私に気持ちがない以上、離婚をする事実には変わりなかった。

「あの夜は、私が社長を吹っ切る為に、無理にお願いして思い出の場所に行ったんです。そして、部屋では私が未練を残さない様に、二人で気持ちを伝え合った。それだけです」

「信じられないわよ。二人で気持ちを伝え合った?だったら、その思い出の場所で、語り合えば良かったじゃない」

そう反論すると、佐倉さんは俯いた。

「最後に、二人きりになれる場所が欲しかったんです。でも本当に、何もしていません。だから、私が原因で離婚はやめて欲しいんです。美亜さん、きちんと社長の気持ちを聞いてください」

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