嘘の誓いとLOVE RING


「今さら、凌祐の気持ちを聞いてどうなるの?彼もね、離婚届にサインをしてくれたの。それが答えなのよ?」

それに、この外出中に提出してくるかもしれない。

今さら何を聞けというのか。

「だったら尚さら、社長の本当の気持ちを知って、離婚された方がいいです。私が原因だとしたら、それは大きな誤解ですから」

佐倉さんは、一体何の意図があるのだろう。

この期に及んで私に、さらに凌祐の好きな人を知れというのか。

それがどれだけ辛い事か、考えなくても分かるだろうに。

「忠告ありがとう、佐倉さん。でも、必要ないから。離婚の原因はね、佐倉さんじゃない。お互いに気持ちがない、それが理由よ。分かったら、とっとと出て行って」

それだけ言うと、ようやく佐倉さんは部屋を出て行った。

ただ一つ、大きなため息をついて。

誰が、好きな人の話なんて聞くものか。

そう決心したのに、圭祐が戻ってきてから言われた言葉に、その決心は見事に揺らいだのだった。

「美亜、悪いんだけど、秘書の仕事を降りてもらう事になった」

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