嘘の誓いとLOVE RING
いつの間にか眠っていたらしく、気が付いた時には外はすっかり暗くなっていて、ベッドルームから見える夜景に目を見開いた。
「綺麗…」
ベッドから見える景色に、テンションも上がる。
バルコニーに出てみようと起き上がろうとした時、体のあちらこちらに痛みを感じた。
「ったく、凌祐ってば。手加減しなさいよね」
穏やかな寝息を立てて、眠っている凌祐を恨めしく見る。
確か、凌祐がここで一人暮らしを始めたのは、約3年前だ。
それから今日まで、この景色は一人で見ていたのだろうか。
それとも、誰かと…。
「そんな事、どうでもいいか」
だいたい今でも、この結婚には不満でいっぱいなのだ。
凌祐が私に愛想を尽かして、“離婚する”と言ってくれたっていい。
服を適当に羽織ると、バルコニーへ出た。
夜風が気持ち良くて、肌寒いくらいだ。
「素敵だわ」
こんな贅沢な暮らしを毎日している凌祐と、庶民の私がうまくやっていけるのか疑問だ。
それでなくとも、10歳も歳が離れているというのに。
夜景を眺めつつも、視界に入った左手薬指に目を向ける。
バルコニーには、小さなオレンジ色の明かりがついていて、その明かりが指輪を輝かせていた。
夜空に手をかざし、結婚指輪を見つめる。
私と凌祐とを結ぶもの。
これは有名ブランドのプラチナリングで、凌祐の勧めで決めたものだ。
シンプルなデザインだけれど、中央にはピンクダイヤモンドがはめ込まれている。