嘘の誓いとLOVE RING
ピンクダイヤモンドは希少価値が高いらしく、意味も“愛”などがあるから、婚約指輪や結婚指輪にはめ込むカップルが多いと言っていた。
このダイヤは小さいもので、それは私が希望したもの。
凌祐は最初は、バカバカしいくらいに大きなダイヤを勧めてきたけれど、私にはこの大きさでも充分贅沢だった。
「凌祐も指輪を見て、結婚したんだって思うのかしら?」
だとしたら、唯一、私たちを繋ぐものは、愛ではなくこの指輪なのかも。
そう思ったら、まるで束縛する道具にすら見えてくる。
指輪の裏に刻印されている“LOVE”の文字も、皮肉でしかない。
夜風に吹かれながらため息をつくと、不意打ちの様に後ろから抱きしめられた。
もちろん、それは凌祐に。
一体、いつの間に起きたのだろう。
「美亜、ため息なんかついて、何を考えてたんだよ」
「別に…。それより、いつの間に起きてたの?」
「素っ気ないんだな。目が覚めたら美亜がいなかったから、ちょっと焦ったよ」
「え?」
焦るって、何でよ。
そう聞きたかったのに、凌祐は抱きしめている手を、胸へと動かしてきたのだった。